皆さん、付き合いの長い友達はいますか?
学生時代に同じクラスだったやつとか、部活で共に汗水を流したやつとか、共通の趣味で知り合ったとか、実家が近所で家族ぐるみで仲良しとかとか、誰にでも1人はいると思います。
こんな私にも、若き頃から仲良くしてくれる人が少なからずいます。
彼らとは月に数回会って、くだらないことや、世間話等を遠慮なくできる、私の数少ない友人です。
時を同じくしてニートになりました♨︎
昔からの友人と、こうやって会って話したり出来ることはとても幸せな事だと思います。
しかしこの度、付き合いの長かったひとり(ひとつ)の友人と別れる事になりました。
そいつの名前は「粉瘤」です。
こいつとの出会いは中学生の時でした。
体育の授業の際、太ももが虫刺されのような痒さに見舞われ、普通に掻きむしっていました。
その夜、風呂に入った時になんか蚊に刺されたように腫れていたのですが、まあ蚊に刺されたんだろうと、その時は気にも止めていませんでした。
数ヶ月経ち、そんなこともうすっかり忘れていた頃に、何となく太ももに触れた時、そいつはまだ残っていました。
疑問に思いつつも、そのうち消えるだろうと放置していましたが、全く治る気配がない。
皮膚科で見てもらった結果、この虫刺されの様な腫れは粉瘤であると診断されました。
この時に行った皮膚科は、近所でも有名な適当な感じの医者だったので、手術を提案されましたが、取らなくても命に別状はないこと、部活動に勤しんでいた時期だったので、最後の大会までは足に負担をかけたくなかったこと、この医者に任せたくなかったことなどの要因が重なり、この時は経過観測する事にしました。ここで切っとけば良かったと今になって思います。
こうして、粉瘤と私の共存生活が始まりました。
あとここから親しみを込めて、彼の事は「ダニー」と呼びます。
高校生になった私は、部活動に勉強に大忙し。という事も無かったんですけど、鼻炎と腰痛が酷くて、そっちを優先して治療していました。
ダニーは若干成長してはいますが、彼は大人しく、痛みを発したりすることも無く、私の太ももでひっそりと生活していました。
走っても、スライディングしても痛くなく、日常生活に差し障りはありませんでした。水泳の授業とかも無かったし、皆で銭湯行くような陽キャでも無かったので、特に人の目線とかも気にしたことはありませんでした。
大学に入ってからも、私達は変わらず仲良く暮らしていました。
ダニーは中学生の頃より成長しており、この頃手術も頭によぎりましたが、痛くも痒くもしない彼を私は切る事が出来ませんでした。めんどくさかった。
これまでで5年も一緒にいたので、ここまでくると醜い姿をしていても愛着がわくってもんです。
そんな訳はないのですが、疲れていたり、精神的にキツイ事があった時は、ダニーが共鳴する様に、痛みを発していた気がします。単純に炎症を起こしていただけです。
こうして就活も一緒に乗り切り、2人で社会の荒波に飛び込んでいきました。
社会人になると一気に忙しくなり、休日はもう何もする元気が無く、家に引きこもりがちになりました。
私はシフト制の仕事だったので普通に平日に休んで病院に行く事も出来ましたが、結局会社勤めしてた時は、健康診断と、職場や家庭で流行病が出た時以外の用事で病院に行きませんでした。ちなみに私は一度も感染しませんでした。
会社員になって幾星霜…
いつもの様に出勤し、いつもの様に私物をロッカーに入れ、いつものようにロッカーの鍵をズボンのポケットに入れて仕事をしていました。
そんな時、ふと腰をかがめた際に太ももに激痛が走りました。
鍵がダニーに直撃していました。
しかし今まで、同じように入れていて痛みを感じたことは無かったのに、ここぞとばかりに悲鳴をあげるダニー。
あまりにも身近な存在になりすぎていて、気にもしていなかったダニー。
恐る恐る彼の姿を久しぶりにのぞいて見ると
最後に見た時からふた周りほど大きくなっていました。
しかもなんか炎症を起こしており、内出血してます。
この時はさすがに焦りました。
それからというもの、スマホだったりがダニーに当たってクソ痛かったり、横になる時に違和感を感じたりと、今まで大人しく、慎ましやかに生きていたダニーが、存在感を存分に発揮し始めました。
苦楽を共にした、心の友ダニーの変わり果てた姿を見た私はようやく手術に踏み切る事にしました。
そしてそれから半年くらい経過した先日。ダニーとのお別れの時がやってきました。
まずは診断にいき、先生の触診がありました。そして手術の予定を立てて、次の日決行の予約を入れてもらいました。
長年、辛い時も、歓喜の時も共に歩み、成長悪化してきたダニー。丸々と大きく成長した彼は、内出血の後なのか皮膚が死んでいるのか分かりませんが、黒くなってました。でも粉瘤って基本的に触っても特に痛くは無いんですよね。折角なので念入りに触っておきました。
たぶん真似する人はいないと思いますが、粉瘤には穴があり、そっから膿やら老廃物やらが出てくる可能性があるので、もしも粉瘤らしいものを見つけたら触らないでとっとと病院で切除してもらいましょう。
そして当日。
まずはもう一度触診をして最終確認です。
しかしなんか確信が持てなかったのか、色がやばかったのか、大きさがやばいのか分かりませんが、血管腫を疑われたため、急遽エコーで確認することになりました。
え?粉瘤ちゃうの!?と心の中を不安がかけていきました。もう夏もとうに終わり涼しくなってきたというのに、冷や汗が止まりませんでした。とっとと○しておけば良かったと心の中で叫びましたね。
結果、確信が掴めなかったけどまあ粉瘤やろってことで手術が始まりました。
もし違った場合は、手術を途中でやめて大きい病院に連れていかれると言われました。
始めての手術な上、もし万が一の事を考えて吐きそうになりましたが、麻酔を打ったあたりからどうでも良くなりました。
部分麻酔ってちょっと心配だったんですけど、当たり前ながらあれ全然痛く無いですね。めちゃくちゃききましたよ。ただ効きすぎたのか、飛蚊症を発症してしまいましたがね。
手術中普通に上半身はバリバリ意識があって、凄く暇でした。手術中手の置き場所が分からなくて、とりあえず頭の付近に置いてたらめちゃくちゃ心配されました。
しばらくすると隣の病室でも何やら治療が始まっており、子供が咽び泣く声が聞こえてきました。最初は予防接種でも打っているのかと思っていましたが、何度かに分かれて絶叫しており、一体なんの治療だったんでしょうか?自分の事よりそっちに気が集中していました。
そんなこんなしてる内に手術は終了。
ダニーの正体は見た目通り粉瘤だったという事で一安心。長きに渡る私たちの奇妙な生活は終わりを告げました。最後に彼の全身を見ましたが、めちゃくちゃデカかったです。そして油画滴れており、めちゃくちゃ気持ち悪かったです。
ちなみに放置して大きくなりすぎていた為、通常の2倍くらいの料金だったみたちです。もう次に粉瘤が出来たときは容赦なく速やかに○して貰うことにしました。
その後、麻酔の副作用で気持ち悪くなるくらいで、特に体調の変化等もなく過ごせています。ただ経過観測のため再び病院に行くまで患部に付けているガーゼが取れなくてめちゃくちゃ痒いです。
私は長い事放置しても大丈夫でしたが、粉瘤や見た目が似ている脂肪腫、血管腫は僅かな確率ではありますが悪性化することがあり、長期間治療しないのは非常に危険です。
また痛みがあったり、急激に大きくなっていくやつはマジで悪性の腫瘍の可能性もあるので、皆さんはなんか腫れ物が出来たら速やかにお近くの形成外科医にご相談してください。